正直不動産第4話から学ぶ「事故物件」のすべて!
2022年4月から山下智久さん主演のドラマ、「正直不動産」が放送開始(NHK総合)されました。
原作はビッグコミックで連載中の漫画で、累計発行部数は120万部を超える人気漫画です。
『千の言葉のうち真実は三つしかない』という意味で、千三つといわれる不動産業界を舞台に繰り広げられるストーリーです。
主人公永瀬自身も嘘のセールストークを得意とし、登坂不動産で成り上がっていきます。
そんな永瀬ですが、あることがきっかけで嘘がつけない身体になってしまいます。
正直すぎる不動産屋となった主人公永瀬が起こす痛快な人間ドラマは必見です。
今回は、第4話のあらすじのご紹介とともに、ドラマ内で取り上げられたキーワード「事故物件」について詳しく解説していきます。
正直不動産第4話「事故物件」あらすじ
正直不動産第4話のキーワードは「事故物件」でした。
「事故物件に住みたい」という高齢女性が会社を訪れ、事故物件を探していく主人公の永瀬と月下ですがここでも永瀬の正直さが出てしまいます。
「ここでは、人が死んでいます。ここは事故物件なんです! 老人の孤独死。それでも住みたいですか?」という問いかけに、高齢女性は「事故物件だから住みたいのよ」と答えます。
それはどういうことなのでしょうか?
正直不動産第4話:キーワード「事故物件」
そもそも事故物件とはどのような物件のことなのでしょう?
そして、事故物件であるという「告知」の義務はあるのでしょうか。
今回は、事故物件の定義や心理的瑕疵、事故物件の告知義務などについてご説明します。
<事故物件の定義とは?>
従来、事故物件として扱われる物件は、殺人、傷害致死、火災(放火ないし失火)などの刑事事件によることで死亡者が出た物件や、事件性のない事故、自殺、災害(地震による崩壊など)や孤独死などで入居者が死亡した物件をいいます。
しかし、国土交通省が2021年10月8日に新ガイドラインを発表するまでは、事故物件について明確な定義や基準がありませんでした。
それでは、新ガイドラインを基に心理的瑕疵、事故物件の契約時の告知について解説します。
<事故物件=心理的瑕疵とは?>
心理的瑕疵がともなう物件というのは、物件を探しているときに紹介された物件が、心理的に「ここには住みたくない」と思わせるような、重大な理由(欠陥)があることをいいます。
たとえば、前に住んでいた方が事故死や自殺、殺人が原因で死亡した部屋と聞かされると契約を躊躇してしまうと思います。
そのことから、事故物件は「心理的瑕疵(かし)」がともなう物件とも言い換えられるのです。
気に入った物件を見つけた場合でも、「前の入居者が居室内で自殺した」という告知があった時に、入居を見合わせる、という方は多いのではないでしょうか?
日本人は特に「死は忌むべきもの」という感情が昔から強いこともあり、面識のない方が死亡した部屋に、拒否反応を示す方もいらっしゃるかもしれません。
<事故物件の告知義務はあるの?>
今まで事故物件については宅地建物取引業法で告知の必要を示していましたが、明確なルールといえるものはなく、取扱業者の判断に委ねられていました。
そのため、入居後にトラブルに発展するということもありました。
そこで、2021年10月8日に国交省が新たに事故物件に関するガイドラインを制定しました。
制定の背景は、従来は不動産屋さんごとに事故物件の取り扱いが異なっていたことや、事故のケースごとに判例が異なっていたことが大きな原因です。
ここのように対応がバラバラであったことを改善するために、一定の基準を設けたのです。
新ガイドライン制定後は、入居希望者や購入希望者に対して物件の瑕疵を伝える告知義務が不動産業者には課せられています。
また、告知だけでなく重要事項説明書への記載も必要になったのです。
事故物件の告知は部屋だけではなく、ベランダやエレベーターなどの共用部分も告知対象になっています。
<事故物件と知らず契約してしまわないためには?>
事故物件の告知義務は、賃貸物件で事件事故の発生からおおむね3年間になっています。
それでは、3年経った事故物件を契約してしまわないために気を付けなければいけないことは次の5つです。
①物件情報に「瑕疵あり」や「告知事項あり」の記載がないかチェックする
②近隣に比べ家賃が安くないかなど条件が良すぎる物件には注意する
③不自然な修繕箇所があれば内見時に質問する
④不動産屋さんに前の入居者情報をたずねてみる
⑤ネットで調べてみる
事故物件の実情は?
ここでは、実際に事故物件の実情(家賃の相場・特殊清掃の費用・ビジネスチャンス)についてご説明します
<事故物件の実情:家賃の相場>
事故物件の場合どうしても心理的瑕疵などから、家賃を値下げせざるを得ないということがありますが、事故物件だから値下げをしなければいけないという法律上のルールはありません。
値下げをせざるを得ない理由は、入居者が集まらないということです。
値下げの幅は、通常の家賃よりも20%~30%安くすることが多いようです。
<事故物件の実情:特殊清掃の費用>
事故・事件などで遺体の発見が遅れた場合、一般的な清掃では除去や除菌できないため、専門的な薬剤を使用する特殊清掃が必要になります。
その特殊清掃の相場は、間取りで決まります。
・1R・1K:7~30万円
・1LDK~3LDK:13~50万円
・4LDK以上:20~60万円
特殊清掃の場合、遺体の発見が遅れれば、それだけ汚れの程度がひどくなるので費用が高額になってしまいます。
<事故物件の実情:ビジネスチャンス>
事故物件は、現代社会に大きな隠れた問題を提起しています。
それは、事故物件になると家賃は下げても入居者が集まらないといった、物件の持ち主には悩みの種になります。
そうなってくると、入居中の事故を恐れて単身高齢者の入居を敬遠する傾向にあるのです。
その問題に正面から向き合ったのが、正直不動産主人公の永瀬でした。
永瀬は、「これからの時代、急速に高齢化が進みます。それでも65歳以上の方に部屋を貸さないつもりですか?」「今は人感センサーなどで人の動きを察知し、住人の異変を早期発見できるシステムがあります。そういった機器を導入し、いっそ高齢者向けのマンションとしてリノベーションすれば、間違いなく需要はあります。ビジネスチャンスととらえるべきです。入居者も弊社が責任を持って見つけてきます」と、事故物件を逆手にとってビジネスチャンスになることを伝えたのです。
まとめ
事故死や自殺、殺人、原因不明の死亡などの場合は、売買契約において経過期間にかかわらず告知が必要になりましたが、賃貸の場合は過去3年以内に限定し、3年以上経過した事故物件に関しては告知不要となっています。
そのような中で事故物件としての告知がなかった場合でも、物件の家賃が近隣の相場感よりも安かったり、内見をしたときリフォームになんとなく違和感がある場合には迷わず事故物件ではないか確認することをおすすめします。
正直不動産第4話で、「事故物件に住みたい」という高齢女性は「事故物件だから住みたいのよ」という突拍子もない発言がありましたが、その理由は長年連れ添ったご夫婦の愛でした。
その女性に「ありがとう」と感謝されたときに、今までに感じたことのない感情(喜び)を味わった主人公の永瀬に、今後どのような問題が待っているのか、次回も見逃せませんね。
※いえらぶコラムより
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