不動産のこと

空き家でも火災保険は必要なの??

2021.09.11 不動産のこと

遺産相続などで誰も住んでいない家を所有しているという人も少なくはないですよね。

空き家とはいえ住宅は住宅なので、火災保険が必要なのか、悩むのではないでしょうか。

今回は空き家に火災保険が必要なのかについてお話します。空き家を持っている人はご参考にしてくださいね。

◆空き家にも火災保険は必要??

はい。空き家にも火災保険は必要ですよ。

たとえば放火の被害があったとしても、その場に人がいないため、初期段階での消火すらできない可能性が高いですよね。また、大雨による雨漏りや、水道管の破裂による水漏れがあったとしても、すぐに気づくことは難しいです。

しかも、近隣の家や通行人等に損害を与えてしまう可能性もあります。たとえば、空き家の塀が壊れて道を塞いでしまったり、風災で壊れた家が他人の家や車などに対して損害を与えてしまったりすることが考えられます。

これらのリスクに対応するために、火災保険は必要なのです。

 

◆知っておきたい失火責任法

火事の恐ろしいところは、一度起きてしまうと一気に周辺に広まることです。

そのため、空き家が放火されたら近隣の住宅にも被害が及ぶことが多いでしょう。

では、空き家が放火され他の住宅に被害が及んだ場合、空き家の所有者はどのような責任を負わなければならないのでしょうか。

日本には失火責任法という法律があり、重大な過失により発生させた火事でなければ損害賠償を請求できないと定められています。

ほとんどのケースでは、空き家の放火でも失火責任法の適用範囲に入りますが、十分な管理がされていない空き家となると重大な過失と見なされてしまうでしょう。

また反対に、近隣住宅のもらい火によって空き家に被害が出た場合、こちら側も損害賠償を請求できないということになります。

空き家を所有するなら失火責任法について理解し、放火のリスクに対処しなければなりません。

 

◆管理状態が悪いと火災保険に加入できない

まず大前提として、廃屋のような管理状態が悪い空き家は火災保険に加入できません。

そのため、空き家を所有したらなるべく早く火災保険に加入しておくことをおすすめします。

さらに、火災保険の契約上、空き家は特殊な位置づけとなり、自宅の火災保険と同じものに入ることはできません。

 

◆保険は3種類に分かれる

火災保険では、建物の種類によって取り扱い方が異なります。

 

  • 専用住宅物件:マンションや戸建てなど住宅用の建物
  • 併用住宅物件:店舗や事務所と住宅が併設されている建物
  • 一般物件:店舗や事務所

空き家は住宅用の建物ですが、火災保険上は店舗や事務所などと同じように一般物件として取り扱われることがほとんどです。

しかし、空き家をどの物件として見なすかは保険会社次第となるので、まずは問い合わせてみましょう。

 

◆地震の被害は保証されない

火災の対処方法として有効である火災保険ですが、基本的に地震による被害は保障されません。

また、空き家が一般物件として扱われると、地震保険への加入はできないので注意しましょう。

本来地震保険というのは、地震による被害をカバーし、これまでの生活を再建するための保険です。

そのため、たとえ地震による火災によって被害を受けたとしても、保険金は降りないのです。

しかし、上記でもお伝えしたように、適切な管理がされていない空き家は倒壊のリスクが高まっています。

小さい地震でも倒壊する空き家はあり、火災と同じように地震への対処方法も考慮しておくべきです。

空き家を管理する際は、万が一の事態を考え、資金面でも備えておく必要があると言えるでしょう。

 

◆所有者が複数人いる場合は注意

空き家という性質上、一般的な住宅にはない注意点があります。特に要注意なのが、空き家の所有権についてです。遺産相続で家を相続した場合などで、物件の所有権が複数人の共有になっている場合があります。

こういった場合、もし、全員を火災保険の対象者(被保険者)に設定する必要があります

なぜなら、火災保険が補償するのは、あくまで「被保険者」の資産だからです。

つまり、1つの家の権利を複数人持っており、そのうちの1人が火災保険に入っている場合、補償されるのは加入している人の分だけということになります。

たとえば、4,000万円の物件をAさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人で、均等に権利を持っているとしましょう。

Aさんのみが保険金額4,000万円の火災保険を契約していた場合、もしも大災害のため大規模な修繕をしないと危険だということになって、費用が1,500万円必要になっても、Aさんの相続分である1,000万円分しか補償されず、500万円足りないことになります。

また、Aさんが修繕費用1,500万円を全額負担したら、他のBさん、Cさん、DさんはAさんに対しそれぞれ375万円の支払い義務を負うことになります。

したがって、1つの物件の権利を複数人で持っている場は、1つの火災保険の契約で全員を被保険者にするか、各々(上の例ではAさんBさんCさんDさんの4人)が自身の保有分に対して火災保険をかけるようにしましょう。

 

 

◆空き家の火災保険の保険料を抑えるには?

空き家は、普段住んでいない物件なので、なるべく保険料を抑えたいと考えるのが人情です。

もしも空き家を今後有効に使う予定がないならば、災害で建物が全損、半損したとしても、建て直す必要は乏しいでしょう。どちらかというと、すぐに必要なのは損壊によって生まれたがれき等の撤去費用でしょう。

そこで、撤去費用が賄える程度の金額のみを保険金額に設定します。そうすれば、万一の際の撤去費用を確保しつつ、保険料を抑えることができます。

別荘などについては有効な手段といえませんが、相続などで受け継いだ家など、今後の用途が浮かばない物件を所有することになった場合は有効な手段です。

 

 

最後に...


結論から言うと空き家にも火災保険は必要です。ただし、基本的に住居として見なされないため、一般的な住宅より保険料が割高になる可能性があります。

また、物件を複数人で共有している場合、もし物件が被害に遭った時に再建を希望するならば、全員を被保険者としなければなりません。

空き家を持っているだけで損害賠償責任などが起こる可能性がある分、万一の事態に備えるため、空き家にもしっかりと保険をかけておきましょう。

結局のところ、空き家を相続すると、火災保険料も固定資産税もかかり続けるし、維持管理責任もあるので使用用途がないのなら売却などを検討されても良いかもしれません。

お気軽にご相談くださいませ(^^)/

 

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