共有名義の不動産を売却する方法とは?
不動産は共同で所有することが可能です。
共有名義にすることでそれぞれ住宅ローン控除受けられるなどのメリットがあり、夫婦でマイホームを共有名義にしているという方も多いでしょう。
しかし、離婚するなどの理由で共有名義の不動産を売却する場合、どのような売却方法があるのでしょうか?
また、共有名義の不動産を売却する際、どういった点に注意すべきなのでしょうか?
今回は、共有名義の不動産の売却についてまとめたので、これから共有名義の不動産を売却するという方はぜひ参考にしてくださいね。
共有名義の不動産とは
まずは、「共有名義」についておさらいしておきましょう。
<共有名義とは>
共有名義とは、複数人でその不動産を所有している状態のこと。
相続人が複数いる場合や夫婦でマイホームを所有する場合、二世帯住宅などを親子で所有する場合などで共有名義にするケースがあります。
このように夫婦や兄弟、両親などと共有することが多いですが、共有名義はさまざまなルールがありトラブルに発展してしまうことも少なくありません。
不動産の売却に移る前にまずは法務局で登記事項証明書を取得し、不動産の名義を確認してみましょう。
<単独名義との違い>
不動産を複数人ではなく一人で所有する場合は、単独名義になります。
共有名義との違いは、自分の判断だけで売却したり賃貸に出したりすることが可能である点です。
一方、共有名義は単独でできることは少なく、リフォームやリノベーションなどでも過半数の承諾が必要です。
とくに、共有名義の不動産を売却するためには、すべての名義人から同意を得なければなりません。
また、ほかの名義人の承諾が必要な場合は、持分割合が重要になります。
持分割合とは名義人が持つ権利の割合のことで、もし30%の持分割合を持っているなら、その不動産に対して30%の所有権を持っているということです。
なぜ持分割合が重要なのかというと、名義人の同意を得る際には「同意した人数」ではなく「持分割合が過半数を占めるか」を見るからです。
たとえばAさん(持分割合20%)、Bさん(持分割合20%)、Cさん(持分割合60%)で共有名義だった場合、Cさんが同意すれば持分割合の過半数が同意したことになり、AさんとBさんの承諾を得る必要がありません。
<持分割合の決め方>
共有名義において大切な持分割合ですが、どのようにして決まるのでしょうか?
共有名義の持分割合は、その不動産の購入資金をどのくらい用意したのかによって決まります。
たとえば、3,000万円の物件を夫が2,000万円、妻が1,000万円を負担したとしましょう。
この場合の持分割合は
夫 2,000万円÷3,000万円×100=67%
妻 1,000万円÷3,000万円×100=33%
となり、このように登記されます。
もし夫婦だからといって負担額に関係なく夫50%妻50%としてしまうと、贈与とみなされてしまい、贈与税の支払いを求められる可能性があります。
持分割合は不動産を売却するときにも重要になるので、しっかりと確認してくださいね。
共有名義の不動産を売却する方法とは
単独名義とは違い、共有名義の不動産売却は一人の判断だけで進めることはできません。
一般の不動産売却とは異なるので、注意しましょう。
<すべての名義人の同意を得て売却する>
先ほどもお伝えしたように、共有名義の不動産はすべての名義人の同意が必要です。
全員が同意すればスムーズに進みますが、一人でも売却に反対する名義人がいれば売却はできません。
共有名義だと売却のハードルは高くなりますが、売益はほかの名義人と分けられるので、財産分与などでよく選ばれる方法です。
<持分割合の部分だけ売却する>
共有名義の不動産は、持分割合の部分だけ売却することが可能です。
しかし住宅ではなく明確に分割ができる土地でなければならず、さらに買手を選ぶため、売却価格が低くなることがデメリットでしょう。
<単独名義にして売却する>
土地を共有名義にしている場合であれば、分筆して単独名義にできます。
分筆とは不動産を複数に分けることを指し、持分割合に応じて分筆し単独名義として独立させれば自由に売却が可能です。
しかし、分筆をするためには所有権移転登記をおこなわなければならず、その分費用と時間がかかることに注意しましょう。
<売却するときに必要な書類>
共有名義の不動産売却には、ほかの名義人の承諾のほかに以下のような書類が必要になります。
登記識別情報(登記済権利証)
登記識別情報とは名義人に発行される権利書のことで、不動産の所有者を証明する役割を持ちます。
そのため、売却時には必ず必要な書類です。
2005年までは登記済権利証が発行されていましたが、名称が変わっても基本的に同じようなものと考えて問題ありません。
土地測量図と境界確認書
土地測量図と境界確認書は土地の面積や隣地との境界線を示すもので、売却後のトラブルを防ぐために必要な書類です。
とくに、境界線がわからない場合は売却時に隣地の所有者と話し合い、きちんと境界線を明確にしておきましょう。
すべての名義人の身分証明書や住民票
単独名義の不動産売却と同じように、共有名義の不動産売却でも身分証明書が必要です。
この場合は「代表者だけ」ではなく、すべての名義人の証明書が必要になることに注意しましょう。
さらに、実印や印鑑証明書、住民票といった書類を用意し、名義人全員が売買契約書への署名を済ませなければなりません。
名義人が多ければ多いほど書類集めが大変になるので、名義人の同意が得られ購入希望者が現れたら、すぐに書類の用意に移りましょう。
共有名義の不動産売却で注意するべきこと
単独名義であれば名義人一人の判断で、売却方法やタイミングを決められます。
しかし、共有名義の不動産売却において一人で判断できる部分はなく、常にほかの名義人と話し合いながら売却を進めなければなりません。
また、勝手に売却してしまったり同意が得られずに売却できなかったりなど、トラブルに繋がりやすいという特徴があります。
トラブルは長期化してしまうこともあるので、共有名義の不動産売却はとくに注意しながら進める必要があります。
<共有名義の不動産売却にかかる税金>
不動産売却で売却益が発生すると譲渡所得税を納める必要があり、共有名義の不動産も例外ではありません。
譲渡所得税は以下のように計算します。
譲渡所得=販売価格 - (取得費+譲渡にかかった費用) -特別控除額
譲渡所得税=譲渡所得×税率
譲渡所得税の税率は所有期間が5年以下の場合は39.63%、5年超の場合は20.315%になります。
譲渡所得税額は持分割合に応じて負担額を決めるなど、あらかじめ話し合っておくとよいでしょう。
また、売却後に必要になる確定申告は名義人が個別で申請しなければならないことに注意してください。
<共有名義の不動産売却の相場>
共有名義の不動産を売却するとなると、やはり気になるのが売却の相場ですよね。
共有持分だけを不動産会社に買い取ってもらう場合相場よりも低くなるケースが多く、
また、不動産全体で売却する場合は一般的な売却と変わりありません。
販売価格は不動産会社や条件によって異なるので、最低売却価格は話し合って決めておきましょう。
最後に…
共同名義の不動産は、一般的に名義人全員の同意を得て売却します。
トラブルを避けるためにも税金の負担額や売却益の割合、最低の販売価格を決めておくなど、事前の準備が大切ですよ。
※いえらぶコラムより
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