住宅のこと

住まいに関係する保険のはなし

2021.11.19 住宅のこと

地震や洪水などの災害のニュースを聞き、その上、コロナ感染症などの新しい災禍を知ると、不安なことが多い世の中です。しっかりとした住まいを手に入れれば、それも安心のひとつになりますが、もしものことは突然にやってくるものです。そんな時への準備として、住まいに関わる保険のおはなしです。

 

◆火災保険

基本的には任意でかける保険ですが、新築やリフォームで住宅ローンを組む場合には特約火災保険がセットになっていることが通常です。一般の火災保険よりも支払い範囲は広く、保険料も割安になっています。ただしローン期間が終了すると同時に火災保険料も終わりますのでローン完済後には、改めて火災保険に入り直さないといけません。

保険料は対象となる住宅によって違います。保険は事故率と損害額によって決まりますので、面積が大きい、補償期間が長い、ローン金額が大きいと、保険料は高くなります。

また、建物の構造級別があり、燃えにくい建物の保険料は安くなります。一般住宅でも準耐火建築物や省令準耐火建築物であれば割安になります。たとえば木造住宅ではツーバイフォーは省令準耐火建築物にしやすい工法になります。

 

◆地震保険

住宅ローンとセットになった特約火災保険でも、地震や津波に対しては対象外となります。このため地震に対する損害補償を求める時には、地震保険に加入する必要があります。震災が起因する火災の場合も、地震保険に入っていなければ補償されません。

地震保険の保険料は、火災保険と同様に建物の構造により変わりますが、地域によっても保険料が変わります。その他に家の損害ほけんには家財保険をはじめ、水漏れや水害、さらには盗難などの保険があり、心配があれば保険に加入します。

 

◆住宅の瑕疵保険

災害ではなく、住宅の工事に起因する故障やキズなどは、保険ではなく保証の対象です。このような不具合のことを瑕疵といいます。

民法上の瑕疵に対する責任は1年ですが、住宅のような耐久財に対しては、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で、構造耐力上主要な部分及び雨水の侵入に関しては10年間の瑕疵担保責任が定められました。すべての建設会社が、全てのお客様に保証しなければなりません。

さらに施主の利益を確実にするために、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」が成立し、平成21年からは保証工事ができるような資金確保も義務づけられています。建設会社の不履行判決が確定したり、倒産したりした時にも保証ができる仕組みとして整備されました。

この資金確保に関しては、戸数に応じて供託金を預ける仕組みと、住宅瑕疵担保責任保険によるものがあります。当初は大手メーカーが供託金で中小企業が保険になると予想されていましたが、企業の規模にはよらず、供託金と保険はほぼ半数になっています。分譲や貸家の多い大手メーカーも意外と保険で対応しているということです。

この瑕疵担保責任保険としての取り扱いを行うために、保険業法と同様に瑕疵担保保責任履行法17条に国土交通大臣によって、次の5法人が指定されています。

*住宅保証機構株式会社

*株式会社住宅あんしん保証

*株式会社日本住宅保証検査機構

*株式会社ハウスジーメン

*ハウスプラス住宅保証株式会社

指定法人名の多くに「保証」が入っていますが、検査等の業務以外で扱っているのはあくまでも保険商品です。

構造耐力や雨漏り以外の工事は、リフォームのように職人の手作業で改修できるものと考えれば、保証はそれほど難しいことではありません。しかし、近年の住宅には多くの設備機器があり、これらの機器の故障は建設会社では簡単に直せないものもあります。

しかも通常のメーカー保証期間は通例1年のケースが多くなっています。別途で損保会社の家電ワランティ保証に加入して、延長保証をするという方法もあります。

 

◆団体信用生命保険

火災保険が住宅ローンにセットされているように、通常、生命保険もセットされています。それを団体信用保険といい、多くがローン返済金額の中に組み込まれています。その保険料は、たとえば住宅金融支援機構のフラット35では、借入金利+0.2%の額が保険料になります。

返済によってローン残高が少なくなると保険料が安くなる逓減定期の掛け捨て型の生命保険であり、ローン期間が定められ、年齢や性別、職種などによる保険料の違いはありません。0.2%程度の金利負担分を計算すると、次のような試算になります。

借入額1000万円当たりで、月額の返済額が1千円弱、返済総額にして3%強の保険料ということになります。

この団体信用生命保険の受取人は、住宅ローンであり、万一、死亡や身体障害などがあった場合は、残された家族にローン返済はなくなります。

さらに、共働き夫婦で住宅ローンを連帯債務することも多くなっていて、夫婦連生団信もあります。お2人のどちらかに万一のことがあった場合、住宅の持ち分や返済割合に関わらず、以後の返済がなくなります。

人生の中でいつ事故が起きるかは、まったくわかりません。住宅ローンの生命保険に入っていれば、万一の時には、住居費の負担は無くなり、食べることだけを考えればすみます。

 

◆生命保険の見直しを

生命保険については、金額ではアメリカ・イギリスには及びませんが、日本の加入率は9割を超えてイギリスの倍以上あり、どこかの生命保険に入っている人は多いはずです。生命保険の種類や特約などの組み合わせは多く複雑で比較することは簡単ではありませんが、住宅ローンの団体信用生命保険は、金融機関が受取人ということもあってとても割安です。

また、一般の生命保険では、余分な特約がつけられているケースも多く見られます。保証金額が高いのに保険料が安ければ、死亡事故が起こりにくい時期への保障が厚くなっている保険の可能性もあります。

リフォームや新築を検討している時は、生命保険を見直す絶好のチャンスです。ローン期間や金額と保険料を比較しながら、既存の生命保険を見直して団体信用保険に切り替えることで、住宅ローンの返済に回せる資金の余裕が生まれる事も良くある話です。

住宅ローンの団体信用生命保険を最初の核となる生命保険として、万一の時の住居の確保を優先しておいて、次に、生活費の不安を解消する生命保険を考えることをおすすめします。

 

 

 

 

参照:住まいの文化研究会 おうちのはなし