二世帯住宅の間取りは「完全同居型」「部分共用型」「完全分離型」のどれがおすすめ?
「完全同居型」のメリット・デメリット
二世帯住宅における「完全同居型」とは、生活に必要な設備や部屋を親世帯と子世帯で共有する間取りで、冒頭で触れた「同居」とほとんど同じ生活スタイルです。
生活に必要な共用設備としては、玄関をはじめキッチン、浴室、リビングなどがあります。
そうした共用設備のほかに、家族の人数に応じて寝室などの部屋数を設けるのが一般的で、いつもお互いの様子を把握していたい場合などにおすすめの間取りといえます。
<「完全同居型」のメリットとは?>
1.建築費用が抑えられる
完全同居型では、1つの玄関や浴室、トイレ、リビングなど生活に必要な設備を二世帯で共有するため建築費用が抑えられるのが大きなメリットとなります。
2.将来一世帯になっても住み続けられる
完全同居型は一般的な住宅のような間取りとなるため、将来、どちらかの世帯のみで生活することになっても、とくにリフォームやリノベーションを必要とせず、そのままの状態で住み続けることが可能です。
3.親世帯と子世帯の様子がわかって安心
親世帯と子世帯が大きな家族として暮らせる完全同居型は、コミュニケーションが密にとれるため親世帯の見守りという観点からもメリット大です。
もしも親世帯の介護が必要になった場合や緊急時なども、すぐに対応できるという安心感があります。
<「完全同居型」のデメリットとは?>
1.プライバシーを確保しにくい
親子といえども別々の世帯がいっしょの空間で暮らすため、完全同居型はもっともお互いのプライバシーが確保しにくい二世帯住宅といえます。
生活リズムが違う場合は玄関の開け閉めや入浴・トイレを使うときまで、お互いを気遣う必要があります。
2.世帯別の光熱費を把握しにくい
生活に必要な設備を共有していると世帯別の光熱費を把握しにくく、負担割合などで揉める可能性もあります。
「部分共用型」のメリット・デメリット
二世帯住宅における「部分共用型」とは、親世帯と子世帯の生活空間をほどよく分ける間取りです。
たとえば玄関など一部の設備を共有としながら、キッチンや浴室などは必要に応じてそれぞれの世帯に設置するなどの例があります。
1階部分を親世帯、2階部分を子世帯が使用するケースが一般的で、同居の安心感を得ながらそれぞれのプライバシーをある程度守りたい場合におすすめの間取りでしょう。
<「部分共用型」のメリットとは?>
1.建築費がある程度抑えられる
部分共用型では完全同居型より建築費が掛かるとはいえ、完全分離型に比べればある程度、安く抑えられるのが魅力です。
プライバシーの確保と建築費削減のバランスを重視するなら、部分共用型の選択肢が有力でしょう。
2.部屋を広く確保できる
住宅の一部を二世帯で共用するため、こちらも完全分離型に比べてリビングや寝室などのプライベート空間をより広く確保することが可能です。
3.二世帯の好みに応じた間取りが選べる
部分共用型では、ゲストの多いお宅であれば玄関とリビングを2つずつ作ったり、食事の時間を共有したいと思えばキッチンダイニングを1つにするなど、それぞれの好みに応じて共用する設備や間取りを自由に選択できます。
<「部分共用型」のデメリットとは?>
1.共有スペースが多いことでストレスを感じやすい
上記のように共用する設備や間取りを事前に考えても、暮らし始めてみるとそれぞれの生活スタイルにズレが生じることもあるでしょう。
二世帯住宅ではお互いに気遣うことが大切ですが、毎日の暮らしのなかでは小さなストレスが積み重なることで我慢できなくなることもあるので要注意です。
2.生活の時間帯が違うと生活音が気になる
入浴やトイレの水音は意外に大きく、共用設備として各世帯に使いやすく設置すると、時間帯によっては一方の世帯に騒音として伝わることがあるので注意しましょう。
「完全分離型」のメリット・デメリット
二世帯住宅における「完全分離型」とは、親世帯と子世帯の生活空間を完全に分離し、それぞれが独立して生活できる間取りです。
キッチンや浴室、リビングはもちろんのこと玄関も別々に設けるため、横割りであればマンションのお隣同士、縦割りであれば上下階同士のような感覚で生活できます。
親世帯と子世帯の生活スタイルや生活の時間帯が大きく違う場合におすすめの間取りといえます。
<「完全分離型」のメリットとは?>
1.各世帯のプライバシーが守れる
玄関から水回りまですべてを二世帯分設置する完全分離型では、完全同居型や部分共用型では守りきれないプライバシーをしっかり守れるメリットがあります。
とくに縦割りの二世帯住宅であれば親世帯と子世帯の生活リズムが違う場合でも、入浴時間やリビングでのだんらん、足音などお互いにほとんど気遣うことなく自由に楽しむことができます。
2.どちらかの世帯だけでも間取り変更しやすい
二世帯が完全に分離しているため、それぞれの世帯の要望に沿って間取りの変更などもスムーズにおこなえます。
たとえば子どもの成長による間取りの変更やバリアフリー化など、一方の世帯の間取りを変更することなく自由にリフォームやリノベーションできるのは助かりますよね。
3.将来コストを掛けずに売却・賃貸できる
完全に分離している二世帯住宅の場合、将来、一方が空き家になった場合でもコストを抑えて売却したり賃貸物件として貸し出したりすることが可能です。
<「完全分離型」のデメリットとは?>
1.建築費が割高になる
完全分離型はすべての設備が2世帯分必要となるため、建築費も割高になるのがデメリットです。
土地代を除く建築費の平均は、完全同居型で約3,200万円、部分共用型で約3,700万円に対し、完全分離型では4,000万円超となっています。
2.親世帯と子世帯が疎遠になりやすい
二世帯住宅でありながら、それぞれの世帯が独立して生活できる完全分離型は、ともすると親世帯と子世帯の交流がおろそかになりがちです。
近くに住んでいながら干渉し合わない環境であるため、意識してコミュニケーションの場を設ける必要があるでしょう。
まとめ
今回は、二世帯住宅の3つの間取り「完全同居型」「部分共用型」「完全分離型」についてご紹介しました。
3種類それぞれにメリット・デメリットがあり、どの間取りを選択するかは親世帯と子世帯の関係性や生活スタイル、建築予算、将来の活用方法などさまざまな点を総合的に判断して選ぶ必要がありそうです。
これから二世帯住宅を建てようとお考えの方は、家族一人ひとりの意見を取り入れながら、親世帯も子世帯も、みんながハッピーに暮らせる二世帯住宅を実現させてくださいね。
※いえらぶコラムより
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